メリノの話

メリノ

「メリノはケケケの王様です」という羊毛公社のコピーでおなじみのメリノ、まさに世界中の羊毛消費の筆頭はこのメリノ、そして日本で消費されている羊毛のほとんどはこのメリノなのです。
日本人は知らないあいだに、このメリノ君にたいへんお世話になっているのです。
すなわち学生の制服をはじめ、ビジネスマンのスーツなど。
メリノは羊毛中、最も細番手、そして純白の白さを持つということで主にオーストラリアそして南アフリカで飼育されています。

とはいっても、スピナーにとっては細すぎるのと、脂分が多い(17.5%)ので羊毛洗いが難しいというのもあり、あまり手紡ぎには使われていません。
主にはスライバー状にされたメリノを使ってのフェルトに使われています。繊維が細くて短いことから、フェルトに速く、しっかり、柄もくっきりエッジが出るというのでメリノを使われる方が多いようです。でも、羊毛なら何でもフェルトになるわけで、メリノだけじゃない他の品種の質感の違うフェルトもほんとはとっても魅力的なんですよ!

メリノで作った作品は、まずその白さと、手ざわりのやわらかさがだんぜん他と違います。茶のショールは中村工房。

右はプレフェルトを作ってから、柄をはさみで切ってデザインをおいたものくっきり柄がでます。左はメリノにモヘヤを混ぜました、このきらきら感がすてき。
メリノはとにかく「糊」の役目をしてくれますので、フェルト化しにくい素材にメリノを混ぜてやると、フェルト化させることができます。
「米良裕子のフェルトのミニバッグ」スピナッツ60号p11
「ポリースターリン布フェルト」スピナッツ39号p34

綿オーガンジーとメリノトップ60sの相性を見つけたのは木原ちひろさん、独特の縮んだときの皺がかわいいのです。
やっぱり布フェルトは布と羊毛の組み合わせでさまざまな表情をみせてくれます。
「夏の白い羊・布フェルトのブラウス」スピナッツ59号p40
「ポリースターリン布フェルト」スピナッツ39号p34

シェットランドレースの技法で編んだメリノのブランケット!シェットランドとメリノの違いがよく出ています。
すなわち、意外に思われるかもしれませんが、メリノは英国短毛種に次いで弾力があるのです。
このふくらみ!メリノならではの弾力とやわらかさ、おもわず赤ちゃんのおくるみ毛布に、丁寧に細い糸を紡いで双糸にして編んであげたくなります。
作ったのは松下幸子さんです。
「特集シェットランドレース」スピナッツ49号p18編み図

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